02-04100 濵寺旧趾

濵寺はまてらの旧趾きうし


髙師濵たかしのはまなる濵寺はまでらの旧跡きうせきは海邉うみへにて紀路きのぢ海道かいだうなり
此所古松こしよう多く繁しげりて風景ふうけい斜なゝめめならす古詠多し
 松の葉のあはひ〱に月千里  湘夕

北髙石きたたかし村の海濱かいひんにあり
むかし元亨げんかう年中三光さんくはう國師こくしの開創かいさうし給ふ大雄寺たいゆうじの古跡こせきなり
伽藍がらん巍ぎゞ々として封境ほうきやう廣ひろし
今濵寺はまでらと称する所南北廿四町東西八町許ばかり一面めんの真砂地まさごちにして古松こせう多し
西に淡路嶋あわぢしま北に須广すま 赤石あかし 一の谷たに 鉃枵峯てつかいがみね南に紀きの海 阿波あはの鳴門なると遥はるかに見へて風景ふうけい玲瓏れいろうとして月を賞しやうするの勝地なるへし
扶桒禅林僧宝傳ニ云
三光和尚諱いみなは覺明かくめい又孤峯こほうと号す奥州の人なり
後醍醐ごだいご天皇帰依きゑし給ひて戒法かいはうを受うけ給ふ其時國師こくしの号がう法衣はうゑを賜ふ
又勅みことのりして大雄寺たいゆうじを髙石にいとなみて開山と賞しやうす