03-00100 和泉郡

和泉郡いづみのこほり

東は河州錦部にしきべ郡及ひ紀刕伊都いと郡に至り西は海濵かいひんかぎり南は泉南せんなん郡に至り北は大鳥郡に限る
けだし和泉の國名くになこゝに出る前巻に見へたり
日本紀曰
欽明きんめい天皇十四年夏五月泉郡いづみこほり茅渟ちぬ海中かいちう梵音のりのこゑあり
震響ひゞき雷聲らいせいごと光彩うるはしく晃曜てりかゞやくことひかりの如し
天皇これをあやしみ給ひて漕邉みそへのあたひつかはし見せしめ給へば海中かいちうより樟木くすのきうき出て玲瓏れいろうたるをひきあげさせ帝に献る
即これを以て佛像二を作らしむ
𠮷野寺に光をはなくすのきざうこれ也
𠮷野寺といふは比蘓寺ひそじなり
かの寺の傳記には淡路嶌あはぢしまの海中より上るとあり
大和名所圖會に著す