04-02000 禅興寺古蹟

禅興寺せんこうじの古蹟こせき

長瀧村にあり新羅しんら金麻蘓きんまその草創也金麻蘓邇きんまそちは本朝に來若干そこばく恩地おんちを賜ふ
遂に領地のなかばを割て公に返し半は當寺佛餉燈油及び修造の料す
其後大和國に豊浦とよらの大臣といふ人あり私領に豊浦寺とよらじたて當寺をもつてかの寺の別院となし當寺領を押へ取る
故に當寺の僧徒等怒を起し一心を佛神をいの
時に大地震動しんどうする事三日夜かの寺僧侶数輩雷のたに
大臣驚て領地を當院に返す
當寺寳物領地等の記文一通は難波なにはの四天王寺の寳藏に収む一通は當寺の庫にあり
昌泰しやうたい元年十月十七日の火災に堂宇并記文こと〱く焼失す
わづかに殘る所宝物 田畠でんはた 山林さんりん 野地やちあり 永承五年六月當寺の舊記に載す