04-04500　男水門舊趾

或^ガ日　男里おのさとの濵松林の中に小祠あり　天神社といふ
これ五瀬命いつせのみこと矢瘡やきずを洗ふ地にして即男水門おのみなとなり
後世社を建て五瀬命を祭るものならん歟
凢て當國に天神社といふもの所々にあり みな天津神あまつかみにして北野天滿天神にはあらすとなん
日本紀曰
神武天皇五月丙寅朔癸酉日軍至茅渟山城水門^{亦名山井水門茅渟此云智怒}時五瀬命矢瘡痛甚乃撫劔而雄酷曰慨哉大丈夫被傷於虜手將不報而死耶時人因號其䖏曰雄水門^{舊事記同上}
古事記曰
神倭伊波禮毗古命與登美能那賀須泥毗古戰之時五瀬命於御手負登美毗古之痛矢串故尒詔吾者爲日神之御子向日面戰不良故負賤奴痛手自今行𢌞而背負日以撃期而自南方𢌞幸之時到血沼海洗其御手之血故謂血沼海也従其地𢌞幸到紀國男之水門而詔負賤奴之手空死乎爲男建而崩故号其水門謂男水門也陵即在紀國之竈山也
^{日本紀舊事記には雄水門當國也　古事記に依ば紀ノ國なるべし　两説決し難し}
後考を俟也
^懐中抄
　常ならぬ世をのみなとおのみなとかうらむらん人の心のさためなきをは　　讀人しらす