04-07800　谷川湊

谷川湊たがはのみなと
　^{遊女家うかれめのいゑ_有}

吹飯ふけゐの南にあり　此地領主桒山くはやま法印氏勝うぢかつ慶長年中始て湊を掘ほつて渡海の舩泊ふなとまりとす
法印食禄しよくろくを太閤秀吉公に受て恩惠をんけいを蒙かうふる
故に湊の西の山に祠廟しべうを建たてて主恩しゆをんを謝しやす　これを豊國山とよくにさんといふ
秀頼ひでより公十二歳にして自みづから豊國とよくに大明神の五字を書しよして法印に賜たまふ
今理智院りちゐんにあり　左さに見へたり
此湊みなと桒山くはやまの掘初ほりそめし時より年とし累かさなりて土砂どしやうち上り埋うづもれしかば　今古湊ふるみなとといふ
其後北の方に新湊しんみなとを作つくりてこゝ入舩にうせん多し
浮遊女うかれめの家いゑところ〱に見へて三弦さみせんの音をと濵風はまかぜに音信をとづれて面白おもしろき湊みなとなり
土佐日記云
　とらうの時はかりにぬ志滿といふ所をすきてたなかはといふところをわたる