宝珠山光明寺理智院
理智院
秀𠮷公社
谷川村にあり 眞言宗
天平年中聖武帝の本願にして開基は行基菩薩也
本尊不動明王
弘法大師の作 秀𠮷公朝鮮征伐の時海路安穏の祈誓し給ふ 故に舟玉の本尊といふ
又腹内に不動尊 長壱尺壱寸の像を籠る
共に弘法大師の作也
𦚰壇に聖観音を安す 行基の作也
秀𠮷公像
本堂の奥社内に安置す
長壱尺許 面貌隆準龍顔にして凢ならず 威風凛々たる尊像なり
初メは豊國山祠廟の神躰なりしを元禄年中火災の後當寺に遷す
即當山も桒山法印が再興の地也
傍に弁財天を安す 又髙麗犬の古物あり 上古の作と見へて甚だ竒雅なり
流木観世音
近年天明五年五月十八日當所の海濵に流れよる物あり
長壱丈亘弐尺餘の伐木也
里人これを取ツて薪にせんと斧を以て打かくるに忽眩暈悶絶す
これによつて其木に綱つけて沖の方へ流し遣る
また二三日を経て元の所へ流れよる
里民大に恐れて海濱に置て注連を引不浄を拂ふ
於是遠近の村里より大勢詣して曰 観音の霊木此濵に上らせ給ふと告るものあり これによて叅詣すとぞ
あるひは燈明が挑げ供物をそなへて諸願を祈る 霊驗立所にあり
日毎に聞傳へて群叅しければ此理智院の本堂へ遷し此木の片面を彫て此木を以て観音の像を作り其彫抜し蹤を厨子にしつらひこゝに安置し流木観世音と称ず