01-00415 連歌師宗椿

さかいの人物じんぶつ

當津古來名譽めいよ人物じんぶつゑらんでこゝに載す

連歌師れんかし宗椿そうちん

連歌師れんかし宗椿そうちん牡丹花ぼたんくはの門弟也
うたみちこゝろざしふか逍遥院殿せうようゐんどのにも時々より〱謁參ゑつさん
源氏物語げんじものがたり書冩しよしやしける事二十およべ
たぐひなき事とぞきこへし
重病ぢうびやうかゝり今般際いまはのきはまでかの物語ものがたりかきけるが朝顔あさかほまきにいたりてぼつしける
此由このよし肖柏せうはくきゝ給ひて
  筆にそめこゝろにかけしちきりとやおりしもきへし朝顔あさかほつゆ  牡丹花

 

今に見る連歌師宗椿

堺市立中央図書館/堺市史
堺市史 第七巻
第一編 人物誌
第二章 全盛期(足利時代より豐臣時代迄)

(七六)宗椿
 宗椿は堺の連歌師で、坂東屋と稱した。(明翰抄)牡丹花肖柏の門人である。歌道に志深く、三條西實隆の知遇を受けた。【源氏の書寫】源氏物語を書寫すること二十部に達し、病中猶ほ書き續け、朝顏の卷に至つて、終に卒去した。【肖柳の追悼】肖柏これを聞いて、
    筆にそめこゝろにかけしちきりとや
         おりしも消し朝顏の露
 の和歌一首を手向けた。(堺鑑下、和泉名所圖會卷之一)

【出典:ADEAC(アデアック)ディジタルアーカイブ/堺市立中央図書館/堺市史