02-01600　凢人中家

北莊東の野にあり
俗に祖父上おほぢのうへ又は王子わうじ^ノ飢うへとも書といふ原もと此地は凢人中家おふしのうゑの古跡こせき也
^{姓氏録せいしろく云}和泉國凢人中家は山代^ノ忌寸いみきの同祖魯ろの百龍王ひやくりようわうの末孫也
或^カ日亀山法皇歳毎としごとの熊野へ行幸みゆきし給ふ其終路みちすがらに九十九所の王子を勧請まし〱けるとかや
此所の少し上に一所の王子^ノ祠やしろの旧きう跡ありけるゆへ土人呼よんで王子が上といふ
又菟道うぢ^ノ太子たいし孝弟かうていの義ぎを立て此ほとりにて餓死がしし給ふにより王子わうぢが飢うへとも書しよすとぞ
又祖父おほちが上うへは祖母うばが懷ふところといふ所此上にあるゆへ其縁ゑんによりて祖父おほちが上うへといふ也とぞ
何れも妄談もうだんにして取に足たらず
凢人中家おふしのうゑの古跡こせきに違たがふ事なし