02-02910 百舌鳥八幡宮月見祭

百舌鳥八幡宮月見祭

月見祭

 百舌鳥八幡宮秋祭りは仲秋の名月に当たる旧暦8月15日にかけて行われるため月見祭と呼ばれ、古くより堺、泉州の人々に親しまれてきました。この祭りは、稲の成熟期を迎え豊作を祈るための祭りと八幡宮に伝わる放生会と満月を祝う風習とが習合して神社の例祭となったものです。

 神社の祭典(神事)は仲秋の名月(旧暦8月15日)に行われますが、勇壮華麗なふとん太鼓奉納行事はその前後の土日に行われます。

ふとん太鼓は、太鼓を納めた台座の上に5段からなる朱色の座布団に似たものが積み重ねられ、その形状のため「ふとん太鼓」と呼ばれています。太鼓本体を納める台座部には荘重な彫り物が、ふとん部には金縄や大小の房の華麗な装飾が施されています。運行時には高さ約4メートル、重さ約2トンとなり、約60~70名で担がれます。

 現在、ふとん太鼓は氏子9町より、それぞれ大小一基ずつ奉納されています。宮入日には、各町ふとん太鼓は、午前11時より約1時間ずつ順に境内を練り歩き、運行は夜10時30分まで続きます。宮出日も同様に午前10時より各町順々に約1時間ずつ境内を練り歩き、境内での運行は夜10時に終了します。

 少し昔の話になりますが、昔の宵宮では、境内の草むらや空き地に上敷きやムシロなどの敷物を敷きつめ、芸者衆の爪弾く三味線の音に合せ唄や踊りの大盤振る舞い。重箱や炭火で年に一度のご馳走を煮炊きし食べ、優雅に月見の宴を催したと言われています。

 今では、月見祭を見物に多くの方が訪れ、境内一杯に楽しい夜店が並んでいるので月見の宴を開くことはできませんが、氏子9町から大太鼓、小太鼓合せ18基の「勇壮・華麗なふとん太鼓」が奉納されるのは圧巻です。

ふとん太鼓



「ふとん太鼓」という言葉をはじめて見た、または、聞かれた方は、いったい何なんやろうと思われるでしょう。

 鳴り物の太鼓を納めた台の上に、神様が鎮座すると言われる赤い座布団に似せた飾りを乗せた太鼓台のことです。西日本の広範囲の神社の例大祭で奉納されています。

 ふとん太鼓は、地方によっていろいろ異なるものがあります。布団の形状が平布団や反り布団になっているものがあったり、布団の段数が3段、5段、7段のものであったり、布団の色が赤、赤・白・水色の3色であったり、刺繍が施されていたりといろいろな形態の太鼓台があります。また、呼び名もチョーサ、屋台、千歳楽(センザイラク)、布団だんじり、コッコデショ、太鼓山等々様々な呼び名があります。大阪では「布団太鼓(ふとん太鼓)」と言っています。

 堺とりわけ百舌鳥のふとん太鼓は、赤の布団を5段に重ね、おおよそ高さ4メートル、飾り等を全て取り付けると重さは概ね3トンと言われ、布団の下の狭間、虹梁に黒檀や紫檀などの唐木に合戦記などの勇猛な物語の彫り物が施されています。

 太鼓台は、年に1度の祭りに各町内から担ぎ出され、神社に奉納されます。
 神社に奉納するためお宮さんに入るので「宮入(みやいり)」といい、逆に神社から各町内に帰るときお宮さんを出るので「宮出(みやで、みやだし)」といいます。
 百舌鳥八幡宮の祭礼では、宮入した後1日神社に留め置き、翌日宮出し各町内に帰っていきます。

 ふとん太鼓を担いで運行する時は、太鼓台を支える「台棒(だいぼう)」と呼ばれる長さ約8mの太い角材を、太鼓を納めた「土呂台(どろだい)」の横に取り付け、「担ぎ手」が担ぐための「担い棒(いないぼう)」を前後に各3本取り付け、前後に約35名ずつ計70名程の人間で担ぎます。

 担ぎ手1人当たりに掛かる重さは、止まっている時で約30キロ、担いでいる時はふとん太鼓が上下するので重さが加わり約40~50キロ(主観的な体感重量です)となりかなり重く、太鼓台を運営する役員からは、「肩で担がず、腰を入れて担いで、足並み揃えろ」とよく声が出ますが、息を合わせないと太鼓台を上げることも、担いで歩くこともできません。まして、「ふとん太鼓を落すことは、町の恥じ」(あまりいい言葉ではありませんが落すことを「ババタレル」といいます)。

 祭り当日は、各町が如何に勇壮華麗に落さず、太鼓台に取り付けた房が如何に綺麗に振れて房の華が咲く担ぎが出来るか。また、他の町より長く担げるかを競いあっています。