03-06400 久米田戦塲

久米田くめだの戦塲せんじやう

永禄三年二月畠山紀伊守髙政熊野くまの根耒ねごろ地士ちさふらひ法師をかりもよふして出張す
此時三好みよし豊前守之康ゆきやす入道實休じつきう畿内きないせい二万そつして久米田くめだに陣をしき数日すじつ畠山に對戦たいせん
ある夜實休夢に和哥一首を得たり
  草からす霜又けふの日にきへて因果はこゝにめくりきにけり
實休は先達而主君を弑す舎弟冬康これ凶夢とて添削を加ふ
  因果とははるか車の輪の外にめくりも遠きみよしのゝ山
實休竟に防戦ばうせんあらずして三月五日流れ矢にあたつて死す後太平記