04-03000 大井堰大明神

大井堰おほせき大明神


日根社ひねのやしろ
馬塲前ばゞさき

 


大井堰おほせき明神

日根野莊ひねのしやう日根野村ひねのむらにあり例祭まつり四月二日
日根野莊の惣社にして生土神うぶすなしんとす

祭神さいじん鸕鷀草葺不合尊うかやふきあはせすのみこと

延喜式内なり聖武帝の御時勧請し給ふといふ

比賣ひめの神社

大井堰社おほせきのやしろ鳥居の南にあり延喜式内也
三代實録曰貞観ちやうくはん元年五月七日壬戌和泉國比賣ひめの神を官社に列す
同八月十三日丙申無位むゐ比賣神に従五位上を授くと
一説曰茅渟宮ちぬのみや舊蹟きうせき此やしろより近し此賣神ひめのかみ衣通姫そとをりひめ也とそ
一名みその口村の前にあればみその口大明神と

末社まつしや

住𠮷 祗園 賀茂
熱田 春日 稲荷

大井堰川おほせきかは

本社の南にあり 两岸りやうがん岩石がんせき疊々てう〱として松檜しやうくはい繁茂はんもし其なかながるゝ水音すいおん浙瀝せつれきとしてまことかみさひこゝろすみわたりて森然しんせんたる霊地なり

牛石うしいし

大井堰川の中にあり

姥櫻うばさくら

神宮寺慈眼しけん院の前にあり
竒代の大しゆにして枝葉しようはびこり花の時は遠近こゝに來りてゑんもよふして春日の永きをおしむ

御手洗川みたらしかは

本社の右にあり

層塔そのたう

本社の乾にあり
大日を安す

藥師堂

塔の西にあり

不動堂

姥櫻うばさくらの東にあり

毘沙門天ひしやもんてん

本社の門の左にあり

束草集當社修造の願文に云
大井堰大明神は泉州五社の其一にして虚往きよわう實帰じつきゑき日々に新也
朝祈てうき暮賽ぼさいれいとしふるびたり
然るに正平八年二月兵戦さかひまじは軍旅ぐんりよとなりしめ神殿しんでん 拜殿はいでん 寳塔ほうたう 鐘樓しゆろう 經堂きやうだう 廻廊くはいろう 樓門ろうもん 瑞籬みづかき 荒垣あらかき 末社等こと〲く破壊はゑ
故に八月十五日五社會合くはいがふの祭禮をかけんと欲す
抑當國五社會合の祭禮さいれいはいにしへよりいまたかつて一社もかくの例あらず
餘社よしやの神官これをうつたへ官しきりに下るによつ神輿みこし國府こふおこし奉りぬ
正平十年八月日覺豪かくがう阿闍梨あしやりこふによつて艸す
本文のしげきいとふて䖏々しよ〱これを畧しぬ