04-04900 自然居士秃倉

自然居士じねんこじの秃倉ほこら

自然じねん田村の中にあり 自然居士じねんこじの木像安置す みたけ弐尺ばかり
近年此像に丹青たんせいを以て彩色さいしき補入ほにうす 古雅こが殊勝しゆしやうさううしな
伝聞つたへきく居士は此地の出産也 故に自然居士と号すとぞ
始は南都なんと興福寺こうふくじに入て法相をまなび其後禅宗ぜんしうよつ南禅寺なんぜんじ大明だいみやう國師こくしの弟子として東山ひがしやま雲居寺うこじ止住しじう
墓は京師西九條村福田寺にあり
ちなみ云 江州観音城の東嶺とうれい軍神ぐんしんを祭る 其社を陽林堂と号す
聖一國師初め駿州しゆんしう久能寺くのうじより江州桒實寺さうじつじに移住す
近江守源信綱のぶつな國師の道様だうやう威風ゐふう抜羣はつくんたつと
其後國師こくし宋國そうこくに入徑山きんさん無準ぶしゆんほうつぐ
國師無準ぶしゆんこふ陽林やうりんの二手書しゆしよせしめ帰朝きてうのちこれを信綱のぶつなあたへ舊好きうこうほう
正安二年仲冬源頼綱よりつな自然じねん居士をして其ことかゝしめがく裏書うらかきふみとし給へり
自然居士じねんこじの筆也