鳳樹山金剛院興善寺
谷川興善寺
谷川村にあり 天台宗
初は文德帝の本願にして仁壽年中慈覺大師開創し給ふ也
佛殿
中尊 大日如來 左 藥師 右 釋迦佛 倶に慈覺大師の作なり
額 興善寺 黄檗恱山の筆 二重軒の間にかくる
不動堂
不動尊 千手観音 元三大師を安す
龍王社
池中にあり
鎭守
藏王権現 熊野権現 神明 愛宕 山王 八幡 御霊
石燈爐
堂前にあり 形 古雅也
勤メ曰 谷川莊興善寺 正平二十一年九月廿八日造ル 施主沙彌宗實とあり
これ則大納言宗實 南朝の㓛臣なり
樓門
四天王を前後の扉の内に安す
額 鳳樹山 普照獨湛の筆
當寺は元亀天正の兵燹に罹て伽藍及び記録等こと〱く焼失す
故に來由を詳にせず 幸に諸佛の像を蓮池に投て火災を免れたり
近來
専海といふ住侶本堂を建立して諸尊を安置す