04-08100 鳳樹山金剛院興善寺

鳳樹山ほうじゆさん金剛院こんがうゐん興善寺こうぜんじ


谷川たかは興善寺こうぜんじ

谷川たかは村にあり 天台宗
初は文德帝の本願にして仁壽年中慈覺大師開創し給ふ也

佛殿ぶつでん

中尊 大日だいにち如來 左 藥師やくし 右 釋迦しやか佛 ともに慈覺大師の作なり
がく 興善寺こうぜんじ 黄檗わうばく恱山ゑつさんの筆 二重軒の間にかくる

不動堂ふどうだう

不動尊 千手観音 元三大師を安す

龍王社りうわうのやしろ

池中にあり

鎭守ちんじゆ

藏王権現 熊野権現 神明 愛宕あたご 山王 八幡 御霊

石燈爐いしとうろ

堂前にあり かたち 古雅也
つと曰 谷川莊たかはのしやう興善寺こうぜんじ 正平二十一年九月廿八日造 施主せしゆ沙彌しやみ宗實そうじつとあり
これ則大納言宗實むねさね 南朝なんてう㓛臣こうしんなり

樓門ろうもん

四天王を前後の扉の内に安す
額 鳳樹山ほうしゆさん 普照ふせう獨湛とくたんの筆

當寺は元亀天正の兵燹ひやうせんかゝつ伽藍がらん及び記録等こと〱く焼失す
故に來由を詳にせず さいはひに諸佛の像を蓮池れんちに投て火災くはさいまぬかれたり
近來きんらい
専海せんかい
といふ住侶ぢうりよ本堂を建立して諸尊を安置す